Letter 生理:STIM1のオリゴマー形成は小胞体のカルシウム枯渇とCRACチャネル活性化を結びつける 2008年7月24日 Nature 454, 7203 doi: 10.1038/nature07065 Ca2+放出活性化Ca2+(CRAC)チャネルから発生する持続性のCa2+シグナルは、抗原刺激性Tリンパ球活性化や増殖などの一連の細胞機能に極めて重要である。最近の研究により、小胞体(ER)のCa2+枯渇が小胞体Ca2+センサーであるSTIM1(stromal interaction molecule 1)のオリゴマー形成と小胞体と細胞膜の接合する部位(ER-PM接合部)への再配置を誘導し、そこの細胞膜にCRACチャネルサブユニットORAI1が集積してCRACチャネルが開口することが明らかとなった。だが、小胞体のCa2+枯渇がこのような協調的な分子再構築をもたらす機構は不明である。今回我々は、小胞体のCa2+濃度([Ca2+]ER)、STIM1の再局在、CRACチャネル活性化の間の関係を明らかにし、STIM1のオリゴマー化がストア作動性Ca2+流入をもたらす極めて重要な[Ca2+]ER依存性の事象であることを示す。小胞体を標的とするCa2+指示薬を発現するヒト・ジャーカット白血病T細胞では、CRACチャネル活性化とSTIM1再配置は[Ca2+]ERと同じ関数に従っており、ヒル係数は約4で濃度約200 µMで最大値の半分に達する。STIM1は1つのCa2+イオンとしか結合しないので、見かけ上の高い協同性は、STIM1がER-PM接合部に集積するためには、まずオリゴマー形成が先に必要であることを示唆している。STIM1オリゴマー化がストア作動性Ca2+流入をもたらす原因となることを直接的に検証するために、STIM1の細胞内Ca2+感知ドメインを、FKBP12(12-kDa FK506- and rapamycin-binding protein、別名FKBP1A)あるいはmTOR(mammalian target of rapamycin、別名FRAP1)のFKBP-ラパマイシン結合(FRB)ドメインと置換した。ラパマイシン類似体は、融合タンパク質をオリゴマー化してER-PM接合部へ集積させ、ERからCa2+を枯渇させずにCRACチャネルを活性化する。したがって、STIM1のオリゴマー化は、Caストアの枯渇がストア作動性Ca2+流入を制御する際の重要な変換過程であり、ER-PM接合部でSTIM1-ORAI1クラスターの自己形成と活性化を誘導するスイッチとして機能することがわかった。 Full Text PDF 目次へ戻る