Letter 地球:大規模な火山活動が引き金となった白亜紀海洋無酸素事変2 2008年7月17日 Nature 454, 7202 doi: 10.1038/nature07076 海洋無酸素事変(OAE)では、海洋が広範囲にわたって無酸素状態となり、酸素の乏しい底層水の下の海底に大量の有機炭素が埋没される。セノマニアン/チューロニアン境界(約93.5 Myr前)で起きたOAE2は、白亜紀中期の最も広範ではっきりとしたOAEである。有機物の埋没増加は、一次生産力が大きくなったか、あるいは保存過程が強化されたとして説明できるが、このような炭素隔離増大の始まりと密接に対応する実際の誘発機構はよくわかっていなかった。大規模な火山活動がまずOAE2の引き金になったという仮説はあるが、堆積物記録に保存された火山活動のOAE2の開始とよく一致する直接的な代理指標は見つかっていなかった。本論文では、離れた2つの場所で採取された有機物に富んだ堆積物中の海水オスミウム同位体比について報告する。2つの場所とも、海洋オスミウム同位体記録はOAE2の開始時かその直前に突然変化していることがわかった。単純な2成分混合方程式を用いて、2つの場所における同時代の海水中の総オスミウム含有量の97パーセント以上は火山起源であるという計算結果が得られたが、これはOAE前の条件と比較すると30〜50倍に増加している。さらに、火山性オスミウム同位体を示す兆候は、炭素同位体比によって示されるOAE2の少し前に現れており、火山活動と大量の有機炭素埋没開始との時間差は最大2万3,000年であることが示唆される。この時間差は、全球の海洋系の反応時間を表している可能性がある。今回の海洋オスミウム同位体データは、OAE2開始時に広範囲にわたる短期の火山活動が生じたことを示唆しており、それがその後の有機物大量堆積の引き金となった可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る