Letter 神経:幸福感や特定の報酬の追求における眼窩前頭皮質の役割 2008年7月17日 Nature 454, 7202 doi: 10.1038/nature06993 確実に報酬を期待できる手がかり刺激は、その報酬によって通常引き起こされる思考や感情を引き出す。ヒトも他の動物も、こうした手がかりのために、しばしば非常に熱心に課題を行おうとする。これは条件性強化と呼ばれ、条件性強化刺激を用いて行動を誘導する能力は通常は有益であるが、場合によっては不利益にも働く。例えば、マクドナルドのゴールデンアーチ(黄色のM)のような企業のシンボルマークは、消費者の行動に強く、時には意外な影響を及ぼし、薬物に関連する手がかりは、薬物依存症患者や常習性薬物を投与された動物に、依存離脱後や常習性消失後であっても薬物探求行動を再発させる。しかし、広くみられる現象であるにもかかわらず、条件性強化刺激がどのようにヒトや動物の行動を制御するのかはよくわかっていない。1つの可能性は、条件性強化刺激はそれが予想させる特定の報酬を利用して働くという機構である。あるいは、条件性強化刺激は特定の報酬とは関係のない情動を喚起することで行動を直接的に制御しているのかもしれない。言い換えると、ゴールデンアーチは、ハンバーガーやフライドポテトを連想させることで販売を促進しているのかもしれないし、あるいは、空腹感や幸福感も想起させるために効果を発揮しているのかもしれない。さらに、特定の結果の想起と、もっと一般的な感情的情報とがそれぞれ仲介する条件性強化は、異なる脳回路によっている可能性もある。我々はラットを用いて、これらの問題への取り組みを試みた。ラットを訓練し、手がかりが特定の結果を想起させるか、結果が異なっても共通する一般的な感情的表現を引き起こすかを調整できるような特別の条件づけ手順により、手がかりによって異なる報酬が予想されることを学習させた。次に、ラットがレバーを押すと、短時間の報酬が出ない手がかりが示されるようにした。ラットは結果特異的な表現を引き起こす手がかりに対しても、一般的な感情表現を引き起こす手がかりに対しても、進んでレバー押しを実行した。さらに、前者の条件性強化には、適応的な意思決定に重要とされる前頭前野領域である眼窩前頭皮質が必須だったが、後者の条件性強化にはそうではなかった。 Full Text PDF 目次へ戻る