Letter

物理:ボルマン分光法で明らかになった四重極子遷移

Nature 454, 7201 doi: 10.1038/nature07099

ボルマン効果は、完全結晶がブラッグ条件を満たすX線の回折を起こすときにみられる、X線ビームの透過性が大幅に増加する現象である。ボルマン効果にみられる吸収の最小化は、X線ビームの電場が結晶平面で零振幅に近づき、原子と作用しないからであると説明されてきた。今回我々は、吸収が抑制される条件下では、電気四重極子による弱い吸収遷移が効果的に増大し、吸収スペクトルで支配的になりうることを実験的に示す。この効果は、原子分光技術として活用できる。四重極子遷移では、ガドリニウム・ガリウム・ガーネットのガドリニウム吸収端L1、L2、L3に余分な構造が生じることを示す。これらは、それぞれ原子芯の準位2s、2p1/2、2p3/2からの励起が始まるところである。ボルマン効果はX線回折の理論の発展を支えてきたが、本研究は、70年前の最初の観測以来、この現象の最も重要な実験的応用であろうと思われる。X線の吸収スペクトルに四重極子遷移の特徴を同定することは、スペクトルの「吸収端前(pre-edge)」領域の解釈にとって中心的課題である。この領域はしばしば、局所対称性や価電子と原子芯を取り巻く環境を表すものと受け取られてきた。四重極子吸収は、主要な双極子スペクトルに現れる状態とは異なる対称性をもつ状態を分離し、また磁性を含めて、ランタニドや3d遷移金属の電子基底状態の性質を支配する軌道を一般的に明らかにする。我々のボルマン分光技術による結果は、共鳴X線回折に関する最近の議論や、非弾性X線散乱で同定された吸収端前のスペクトル線の性質の議論などに役立つ。さらに、ボルマン効果はフォトニック材料でも観測されているので、本論文で報告した四重極子吸収の増強は、現代光学で重要な役割を果たすであろう。

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