Article 生化学:エボラウイルス感染の生存者由来の抗体と結合したエボラウイルス糖タンパク質の構造 2008年7月10日 Nature 454, 7201 doi: 10.1038/nature07082 エボラウイルス(EBOV)が宿主へ侵入する際には、宿主細胞膜への付着と融合を開始させるウイルス表面糖タンパク質(GP)が必要である。本論文では、融合前にみられるコンホメーション(GP1+GP2)にある三量体EBOV GPが、1995年のキクウィット周辺での大流行の生存者に由来する中和抗体KZ52と結合した状態の結晶構造を報告する。ウイルスの3個のGP1付着サブユニットが杯型構造を作るように集まり、これがGP2融合サブユニットが作る土台によって支えられている。保存された受容体結合部位は杯の内部に隠れており、新規のグリカンキャップと突出したムチン様ドメインが、結合部位への接近を制限している。GPを取り巻くグリコカリックス(糖衣)が免疫回避の主役として働くらしく、生存者の中和抗体力価が高くない理由はこれで説明できるかもしれない。KZ52が認識するタンパク質エピトープは、杯の基部にあって融合前型GP2のいくつかの領域をGP1のアミノ末端に固定している。今回明らかにされた構造は、EBOVのGPを介した融合の仕組みの解明や、将来の免疫治療開発の基盤となるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る