Letter

気候:熱帯大西洋上で広範囲にわたって起こるハロゲンによるオゾン破壊

Nature 453, 7199 doi: 10.1038/nature07035

過去150年にわたって上昇してきた対流圏オゾン濃度は、気候の大きな変動をもたらしている。対流圏オゾンの将来の変化傾向を予測するには、前駆物質の放出と破壊過程の両方の十分な解明が必要である。対流圏オゾン消滅の大部分は、熱帯の海洋境界層で起こっており、水蒸気濃度が高い条件下でオゾンの光分解速度が高いことにより主に駆動されていると考えられている。外洋の海洋供給源から放出される臭素とヨウ素による対流圏オゾン量のさらなる減少については、数値モデルにより推測されてきたものの、これまでは観測による検証はなされていない。本論文では、一酸化臭素と一酸化ヨウ素が日中に熱帯海洋境界層に広く存在していたことを示す、ケープベルデ観測所での8カ月間の分光観測の結果を報告する。低高度での航空機観測と連携して行われた、同じ海域の海表面の微量気体の1年間のin situ観測データによると、オゾン消滅の日平均量は、ハロゲンの化学反応を組み込まない古典的な光化学反応機構を用いた全球化学モデルでシミュレートした量よりも約50パーセント大きい。ボックスモデル計算を行った結果、観測されたハロゲン濃度は、モデルと観測結果を一致させるのに必要なさらに多くのオゾン消滅を起こすことが示された。この結果は、ハロゲンの化学反応が熱帯大西洋の境界層における光化学的なオゾン消滅に重要かつ広範な影響を及ぼすことを示している。大気モデルにハロゲンの供給源と化学反応を組み込まないと、全球のオゾン収支、対流圏の酸化能力、メタンの酸化速度などの計算に、過去についても将来的にも重大な誤差をもたらす可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度