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行動:ショウジョウバエの空間定位記憶の解析

Nature 453, 7199 doi: 10.1038/nature07003

目標駆動型の柔軟な定位には、目標位置の記憶が必要であり、目標が視界から外れてしまう場合にはとりわけそうといえる。このような位置情報を保持、想起してガイド行動に統合する能力は、空間作業記憶と総称されている。この種の記憶には、そこに存在する物に特有の詳細情報が含まれているが、それらが長期記憶の一部になるとは限らない。霊長類の神経生理学研究で、目標物が存在しなくなってもニューロン活動が持続されて知覚情報を符号化していることが示されている。またこうした研究から、ドーパミンがそれぞれの入力を前頭皮質に伝達し、GABAによる同時抑制がこのニューロン活動を空間的に限定することも示唆されている。今回我々は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)にも同様の空間記憶があって、移動の際に用いていることを示す。新たに考案した迂回装置を用いて、目標物が環境から取り除かれても、ハエがその位置を数秒間記憶していられることがわかった。この装置内で、ハエは最初に向かっている目標を隠されて一時的に方向転換させられても、その後に最初の目標を目指して進むことができた。このハエの機能的空間定位記憶には、中央脳にある長円体のGABA作動性の(GABAに対する抗体で染まる)環ニューロンが必要であり、それらのニューロンの可塑性で十分であるとわかった。また、この記憶を作動させるには、環ニューロンの特定の小集団でプロテインキナーゼS6KII(ignorant)が必要だった。これらのニューロンのS6KIIを条件発現させることで、ignorant変異体で失われていた定位記憶を成虫で回復できた。したがって、ハエの空間定位記憶には、環ニューロン内でのS6KIIシグナル伝達経路の急速な活動が必要らしい。

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