Letter 遺伝:1塩基の分解能での解析による真核生物トランスクリプトームの動的なレパートリー 2008年6月26日 Nature 453, 7199 doi: 10.1038/nature07002 いくつかの生物から最近得られたデータから、ゲノムの中で転写される部分は、予想していたよりも広範囲で複雑であり、転写物の機能的特性の多くは、タンパク質コード配列ではなく、非翻訳領域存在する調節配列あるいは非コードRNAに基づくことが示されている。選択的開始とポリアデニル化の部位、並びにイントロンスプライシングの制御は、豊富な転写結果をさらに多様なものにしている。このような転写の複雑性の例は主に、単一または数少ない実験条件下でのハイブリダイゼーションに基づく方法を用いて得られてきた。本論文では、相補的DNA(RNA-Seq)の直接的なハイスループット塩基配列解読を行い、高密度タイリングアレイから得たデータを補足して、入手可能な遺伝子アノテーションとは独立に分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)の転写物を包括的に解析した。我々は、急速な増殖、減数分裂による分化、並びに環境ストレスなどの複数の条件下で、そしてRNAプロセシング変異体においてトランスクリプトームを解析し、転写の状況の動的な可塑性を、環境的、発生的および遺伝的因子の機能として明らかにした。ハイスループット塩基配列解読は、トランスクリプトームを最大分解能で詳細に検討するための強力かつ定量的な手法であることが明らかになった。ハイブリダイゼーションとは対照的に、塩基配列解読はバックグラウンドノイズがほとんどなく、十分に高い感度を示したため、正しく転写されなかったり、すぐに分解されたりしたRNAの痕跡を含め、ゲノムの90%を超える広範囲な転写を検出できた。配列解析と鎖特異的なアレイ・データを組み合わせることにより、大半が非コードである新たな転写物、非翻訳領域および遺伝子構造に関する条件特異的な情報が豊富に得られることから、既存のゲノムアノテーションが改善される。エキソン-エキソンまたはエキソン-イントロン接合部にまたがる塩基配列を読み取ることにより、イントロン、遺伝子および条件によるスプライシング効率の著しい違いについて独特な手がかりが得られる。スプライシング効率は、転写レベルとおおむね相関しており、試験的に解析した遺伝子では、転写が増加すると、スプライシングも増加した。細胞の増殖または分化の際には、数百個のイントロンでこのように制御されたスプライシングがみられた。 Full Text PDF 目次へ戻る