Letter 構造生物学:ArgosによるEGFRリガンド隔離の構造的基盤 2008年6月26日 Nature 453, 7199 doi: 10.1038/nature06978 上皮増殖因子受容体(EGFR)やErbB/HERファミリーメンバーとこれらの活性化リガンドは、さまざまな発生過程で必須の調節因子である。これらの受容体の不適切な活性化は多くのヒトのがんの重要な特徴であり、それを正常化することは重要な臨床目標である。Argosと呼ばれる、EGFRシグナル伝達の自然分泌される拮抗物質がショウジョウバエ(Drosophila)で同定された。以前我々は、ArgosがEGFRを活性化する増殖因子リガンドに直接結合し、隔離することにより作用することを示した。今回我々は、EFGRリガンドに結合したArgosの分解能1.6 Åでの結晶構造を示す。予想に反して、ArgosはEGF様ドメインをもたない。その代わり、よく似た3つのドメインが作る構造(神経毒のthree-finger折りたたみ構造に似る)が、結合したEGFリガンドの周りにクランプ様構造を形成する。Argosは、構造的にはEGFRと類似していないが、2つに分かれた結合表面を使ってEGFを捕捉する点が似ている。Argosの各ドメインは、トランスフォーミング増殖因子βファミリー受容体の細胞外リガンド結合領域と予想外の構造的類似性を有している。Argosの3つのドメインによるクランプ構造はウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベーター(uPA)受容体にも似ており、uPA受容体は類似の機構を使ってuPAのEGF様モジュールを包み込む。哺乳類でArgosに相当する分子はまだ見つかっていないが、これらの結果は、特徴が十分調べられていない他の構造的ホモログの中にこれが存在する可能性を示している。さらに、今回示した構造から、抗がん治療に有効と思われる人工的EGF捕捉タンパク質の設計に必要な条件が明らかになった。 Full Text PDF 目次へ戻る