Letter 脳:視床-扁桃体シナプスの急激な強化が手がかり-報酬学習に関与する 2008年6月26日 Nature 453, 7199 doi: 10.1038/nature06963 目標指向学習における個体差の基盤となる神経変化とはどのようなものだろうか。外側扁桃体(LA)は、情動的、動機的な意味を、個々の環境手がかり、例えば報酬を予測させるものなどに結びつけるのに重要である。ある手がかりが報酬を予測させることを認識すると、動物の報酬獲得能力は向上する。しかし、この手がかり-報酬学習の基盤となる細胞レベル、シナプスレベルの機構は解明されていない。今回我々は、1回の訓練期間中に手がかり-報酬の関連づけがうまく獲得された場合には、手がかりによって起こるニューロンの発火と入力特異的なシナプス強化の両方に、著しい変化が起こることを明らかにする。ショ糖を自己摂取するよう訓練したラットのLAで、in vivoおよびex vivoで電気生理学的活動を記録したところ、報酬が予測される手がかりに対して段階的に応答する扁桃体ニューロンの数に比例して、報酬学習の成功率が高まることが観察された。さらに、手がかり-報酬学習によって、扁桃体の視床系シナプス強度にAMPA(α-アミノ-3-ヒドロキシ-5-メチル-イソキサゾールプロピオン酸)受容体を介した上昇が誘導され、これは最初の訓練期間の直後に明らかになるが、皮質系シナプスではみられなかった。個々のラットの学習到達レベルは、シナプス強度の強化と強い相関を示した。特に重要なのは、LA内のNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体の阻害によって報酬学習が損なわれ、関連するシナプス強度が減衰することである。これらの知見は、LAのシナプス可塑性と手がかり-報酬学習との関連を示す証拠であり、これが目標指向行動の基盤となる重要な機構である可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る