Letter 生態:超音波でコミュニケーションするカエルの雄は求愛時の雌の鳴き声に対して高精度の走音性を示す 2008年6月12日 Nature 453, 7197 doi: 10.1038/nature06719 音声コミュニケーションはカエルの繁殖に極めて重要な役割を果たしており、音声による自己アピールは一般的に雄の領分である。雌は普通、声を発しないが、少数のカエル種では、求愛活動中に雌が弱い鳴き声で返答したり、ラップ音を発したりする。Odorrana tormotaという渓流近くにすむカエルの雄は、超音波でコミュニケーションする能力があることが実証されている。O. tormotaの雌は発声系が例外的によく発達しているが、雌は鳴き声を出すのかどうか、また、雄が主役となるコミュニケーション系で雌は受け身的な役割をしているだけかどうかはよくわかっていない。今回我々は、産卵を控えて体内に多数の卵を抱えたO. tormotaの雌が、雄の自己アピールの鳴き声とは異なる、雄よりも基本周波数が高く高調波で、発声時間は雄よりも短い鳴き声を出すことを示す。野外および静かで暗い屋内で、こうした雌の鳴き声によって、雄の発声と極めて高精度の正の走音性(定位誤差は1 °未満)が引き起こされ、この走音性の精度は最も高精度の定位を行う脊椎動物(メンフクロウ、イルカ、ゾウ、ヒト)に匹敵する。O. tormotaの定位精度はその小さな頭部(両耳間隔が1 cm未満)を考えると驚くべきものであり、高周波音の聴き取りには、低周波の背景ノイズによる遮蔽の回避以外に、付加的な選択的利益があることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る