固型腫瘍では脈管構造の形態が異常であり、拡張した脆弱な血管、血管からの非常に多数の出芽および階層構造消失を特徴とする。腫瘍環境下では、血管の再建が常時継続しているために、自発的な出血と間質液圧の上昇が起こる。腫瘍に関連した血管新生は腫瘍の成長を支えており、また免疫エフェクター細胞の固着腫瘍実質組織への遊走を妨げるため、免疫療法成功への主要な障害となっている。こうした血管新生の変化の分子機構はほとんど解明されていない。今回我々は、Rgs5(regulator of G-protein signalling 5)がマウスで異常な腫瘍血管形態をもたらすマスター遺伝子であることを同定した。Rgs5の欠失は、周皮細胞の成熟と血管の正常化を引き起こし、その結果腫瘍の低酸素状態と血管の遺漏性が著しく低下する。こうした血管と腫瘍内部の変化は、免疫エフェクター細胞の腫瘍実質への流入を促進し、腫瘍を有するマウスの寿命を著しく延長する。これは、血管遺伝子機能欠損による腫瘍血管新生の低下と免疫治療転帰改善の、我々が知る限りで初めての実証であり、腫瘍血管新生にGタンパク質シグナル伝達がもつこれまで知られていなかった役割を確立するものである。