Letter 生物物理:自己開裂をする重要なIII型分泌タンパク質EscUとSpaSの構造解析 2008年5月1日 Nature 453, 7191 doi: 10.1038/nature06832 グラム陰性病原菌の感染の際には、III型分泌系(T3SS)が組み立てられて細菌の毒性エフェクターを宿主細胞内に直接送り込む。T3SSを特徴づけているのは、細菌の内膜と外膜にあって目立つ一連の多成分環と、宿主細胞膜中の送り込み孔である。これらはいずれも、T3SSタンパク質を宿主細胞へ通り抜けさせる直接通路として働く一連の重合チューブでつながれている。T3SSでは、進化的に関係のあるべん毛装置と同様、組み立ての際、分泌に適合した状態を促進するために内膜タンパク質EscU/FlhBの翻訳後切断が必要となる。これらのタンパク質はずっと以前から、分子スイッチの一部として働くと考えられてきた。このスイッチはT3SSの組み立て中にはさまざまな装置部品の、その後は輸送される毒性エフェクターの適切な経時的分泌を調節するとされる。今回我々は、大腸菌(Escherichia coli)のタンパク質EscUの表面II型βターンが、高度に保存されたアスパラギン残基の環化のかかわる機構によって自己開裂を起こすことを示す。点変異や欠質変異の構造解析とin vivo解析によって、EscUの高度に保存された表面領域(内膜で他のT3SS成分と相互作用すると考えられる場所)の分子形状の調節に、自己開裂のわずかなコンホメーション変化が与える影響が明らかにされた。さらに今回の研究では、アスパラギン環化などの多数の自己開裂反応に対して、他の反応とは違うコンホメーション上の要求があることが、構造面から新たにわかってきた。 Full Text PDF 目次へ戻る