Letter 生理:CaVチャネルのカルモジュリン制御における空間的Ca2+選択にかかわるモジュール型スイッチ 2008年2月14日 Nature 451, 7180 doi: 10.1038/nature06529 電位依存性CaV1-2 Ca2+チャネルのCa2+/カルモジュリン依存性の制御では、多くの生物機能にとって極めて重要な空間内Ca2+濃度の解読とチャネル修飾が異例な方法で行われている。このチャネルのC末端尾部には1個のカルモジュリン(CaM)分子が構成的に結合しており、CaMのC末端およびN末端にある丸い突出部(ローブ)のどちらかにCa2+が結合すると、それぞれ独自のチャネル制御が起こる。Cローブはチャネルのきわめて近くに存在することから予想されるように、結合しているチャネルによって引き起こされる約100 µ MのCa2+パルスに応答し、この現象は「局所Ca2+選択性」と呼ばれている。これとは逆に、Nローブはなんらかの方法で距離的に離れたCa2+源から発生するずっと弱いシグナルを感知することが、これまでの全ての知見で示されている。この「全細胞的Ca2+選択性」は、一般的なシグナル伝達の必要条件を満たしており、内在する分子が遠くで起こる細胞のCa2+変動を感知できる。このような仕組みがなければ、こうした変動はCAMが結合しているチャネルを通るCa2+流入によって覆い隠されてしまう。今回我々は、CaM Nローブ制御による空間的Ca2+選択性は常時細胞全体にわたるものではなく、チャネルのアミノ末端にある今まで未知のCa2+/CaM結合部位(N-terminal spatial Ca2+ transforming elementを略してNSCaTEと呼ぶ)によって切り替え可能であることを示す。本来のCaV2.2チャネルはこの部位を持っておらず、全体的選択性を備えたNローブ制御が見られる。こうしたチャネルにNSCaTEを導入すると、空間的Ca2+選択性は、全体的なものから局所的なものへと変換される。このような作用があるとして、本来NSCaTEを持つCaV1.2/CaV1.3チャネルを調べたところ、これらのチャネルのNローブの選択性は実際に局所的であるとわかった。この部位を破壊すると全体的な選択性が見られるようになることから、NSCaTEの本来の機能が確認される。従って、進化した生物のCaV1チャネルとCaV2チャネルのアイソフォーム間の空間的選択性の違いは、NSCaTEの有無によって説明できる。機能的な影響に加えて、NSCaTEがチャネルのアミノ末端に位置することは、CaMがチャネルのアミノ末端とカルボキシ末端を架橋しうることを意味する。また、NSCaTEのモジュール性は全体的なCa2+選択性の基礎を理解するための有用な手段となる。 Full Text PDF 目次へ戻る