Letter 生態:プランクトン群集の長期実験で認められたカオス 2008年2月14日 Nature 451, 7180 doi: 10.1038/nature06512 数理モデルは、競争や捕食のような種間相互作用からはカオスが生じると予測している。しかし、生態学においてカオスを実験的に実証した例はほとんどなく、あっても人為的に構成した種群を用いた短期の単純な実験系に限られている。今回我々は、複雑な食物網を使った長期実験におけるカオスの初めての実験的実証を報告する。この食物網はバルト海から単離したもので、細菌、植物プランクトン数種、草食性および捕食性の動物プランクトン数種、それにデトリタス食者からなる。我々は、この食物網を実験室メソコスムとして培養し、2,300日余りにわたって週に2回試料採取を行った。外部環境が一定であるにもかかわらず、種個体数量は数桁の幅で大きく変動した。このような変動の周期性はさまざまであり、食物網内の異なる種間の相互作用に起因する可能性がある。個体群動態の特徴として、各種で似たような大きさの正のリアプノフ指数が見られた。予測可能性は15-30日以内に限られており、これは局地天気予報よりも若干長期であるにすぎない。したがって我々の結果は、食物網に見られる種間相互作用がカオスを生じうることを実証している。これは、複雑な食物網の存続に安定性が必要ないこと、および種個体数量の長期予測が不可能な場合があることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る