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生理:線虫成体の寿命を延長する抗うつ薬

Nature 450, 7169 doi: 10.1038/nature05991

生物の寿命を決定する機序は、いまだにそのほとんどが不明である。老化研究の目標の1つは、成体に投与した際に、寿命を延長し、活力を増大させる薬物の発見である。この目的のために、我々は88,000種の化学物質について、線虫(Caenorhabditis elegans)成体の寿命を延長する能力を調べた。本論文では、ヒトで抗うつ薬として用いられている1つの薬物が、線虫の寿命を延長させることを報告する。この薬物は、ヒトに対しては神経伝達物質セロトニンによる神経のシグナル伝達を遮断する。線虫では、この薬物が寿命に及ぼす影響は、セロトニン合成、シナプスでのセロトニン再取り込み、または2種のGタンパク質共役受容体(セロトニンを認識するものと神経伝達物質オクトパミンを認識するもの)のどちらかに影響を与える変異によって低下または消滅する。in vitro研究から、この薬物が双方の受容体に対してアンタゴニストとして働いていることがわかった。食餌制限した線虫、または寿命に影響が及ぶような変異を有する線虫を用いて薬物の働きを調べた実験からは、この薬物の寿命に対する影響には、食餌制限による寿命延長にかかわる機序が関係していることが示される。これらの研究は、線虫成体で餌の感知にかかわると考えられている特定の種類の神経伝達を遮断すると、おそらく実際の飢餓ではないが、飢餓と感じる状態になることで、寿命延長が可能になることがあるのを示している。

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