Letter 脳:皮質受容野の可塑性を生むシナプスの記憶痕跡 2007年11月15日 Nature 450, 7168 doi: 10.1038/nature06289 知覚皮質ニューロンの受容野は可塑的で、神経活動や知覚経験の変動に応じて変化する。これによって、知覚される外環境の皮質上での表現は、特定の刺激の価値や意義に従って、外界についての新しい情報を取り込むことができる。皮質の可塑性には神経調節が必要とされるが、例えばコリン性基底核のような皮質下の神経調節系がどのようにして皮質の回路と相互作用し合って精緻化を行うのかについては、まだわかっていない。今回、ラット成体の一次聴覚皮質(別称A1野)の受容野シナプス可塑性の動的特性を、in vivoホールセル記録法を用いて調べた。知覚刺激と基底核活性化とを組み合わせると、シナプス抑制が数秒以内に急速減少して皮質ニューロンの好適刺激がシフトし、その後、シナプス興奮が大幅に増大した。これらは、どちらも組み合わされた刺激に特異的な反応だった。基底核への刺激がほんの数分間であっても、シナプスの同調カーブの変化はその後数時間にわたって進行した。抑制が活動依存的にゆっくりと増大して、持続的な興奮強化とのバランスが再びとられ、組み合わされた刺激に対して新しい好適性をもつ再同調受容野が作られる。この時間限定的な脱抑制が、受容野の可塑性の基本機構であり、新たな行動的意義をもった刺激やエピソードについての記憶痕跡として働いている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る