Letter 光学:メタマテリアルにおける「捕らわれた虹」型の光保存 2007年11月15日 Nature 450, 7168 doi: 10.1038/nature06285 光は通常、透明物質の中を周知の方法で伝わっていく。しかし最近の研究では、通常の透明誘電体にさまざまな形状や配列の微小金属包有物を導入することで、光の伝わり方を変える可能性が調べられている。光がこれらの構造体を通過すると、振動電流が生じ電磁場モーメントが発生する。これが、光の伝搬に大きな影響を及ぼし、例えば負の屈折率を生じさせる。考えられる応用としては、従来の回折限界を打破するレンズや「透明マント(invisibility cloak)」が挙げられる。だが、このような構造体を使って、光信号を減速、捕捉、放出する可能性に注目した研究は非常に少ない。今回我々は、負の屈折率をもつメタマテリアル・コアを有する軸方向に変化するヘテロ構造体を用いれば、光を効率よくコヒーレントに完全停止できることを理論的に示す。今回の方法では、光を減速し保存するこれまでの方法とは異なり、高いインカップリング効率と広帯域室温動作が同時に可能になる。意外なことに、我々の解析から、導波路の有効厚さがゼロになり、光波のさらなる伝搬が妨げられる臨界点の存在が明らかになった。この臨界点で、光線が恒久的に捕捉され、その軌跡は我々が「光の水時計(optical clepsydra)」と呼ぶ二重光円錐を形成する。波束の各周波数成分は異なる導波路厚さで停止するため、スペクトルが空間的に分離し、「捕らわれた虹」が形成される。我々の結果は、メタマテリアルと低速光という現代科学の2つの重要な領域のすき間を埋めるものである。メタマテリアルと低速光を組み合わせて調べることによって、光データ処理・記憶分野での応用や量子光メモリーが実現するかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る