Letter 量子光学:量子もつれを使わないハイゼンベルク限界の位相推定 2007年11月15日 Nature 450, 7168 doi: 10.1038/nature06257 測定はすべての定量科学の基礎となる。この重要な一例は光位相の測定で、これは長さの計測などの多くの応用に使われる。精密測定の進歩は常に重要な科学上の発見につながってきた。原理的には、測定精度は使う量子リソース(光子など)の数Nで制限される。標準的な測定スキームでは、各リソースを独立に使い、1/√Nのようにスケールする位相不確定性が得られる。これは標準量子限界として知られている。しかし、そのスケーリングを1/Nまで大幅に改善するような、ハイゼンベルク不確定性原理のみに制限された精度の実現は可能であるとずっと以前から予測されてきた。この改善の実現には、普通はNOON状態のようなエキゾチックな量子もつれ状態を使うことが必要と考えられている。このような状態は生成が極めて難しい。測定スキームに使われた光子あるいはイオン数はN≤6であるが、標準量子限界を超えた例はわずかしかなく、ハイゼンベルク限界スケーリングを示した例はない。本論文では、実験によりハイゼンベルク限界の位相推定手順を実証する。量子もつれ入力状態を、量子もつれを起こしていない単一の光子状態の位相シフトを多数回行うことに替えた。適応測定理論を使ってキタエフの位相推定アルゴリズムを一般化し、ハイゼンベルク限界の標準偏差スケーリングを実現した。使ったリソースの数が最も大きい(N=378)とき、標準量子限界を10 dB以上下回る分散で未知の位相を推定した。標準的な干渉法を使うと、この分散を実現するには4,000個以上のリソースが必要になる。我々の結果は、測定精度の量子効果による増強を実現する場合の複雑性を大きく減らすことにつながる。 Full Text PDF 目次へ戻る