Letter 進化:海洋ウイルスと宿主のゲノム全域での発現動態解析から明らかになる共進化の性質 2007年9月6日 Nature 449, 7158 doi: 10.1038/nature06130 細菌宿主とウイルス(ファージ)の間のかかわり合いは、動的な共進化の過程を通してゲノムの相互進化を引き起こす。ファージを介した宿主遺伝子の移動(ゲノムアイランドとして存在することが多い)は、微生物の進化に大きな影響を与えてきた。またファージゲノムも明らかに、宿主からの遺伝子の獲得によって作り上げられてきている。今回我々は、海洋性シアノバクテリアであるプロクロロコッカスMED4(Prochlorococcus MED4)とT7に似たシアノファージP-SSP7という宿主/ファージの組み合わせについて、溶菌感染中の全ゲノム発現を調べ、このような共進化の過程についての手掛かりを得た。ファージゲノムの大半は感染の間に配置通りに直線的に転写されたが、ファージがコードする細菌の代謝遺伝子4個は、ゲノム上で物理的に離れているにもかかわらず同じ発現クラスターに組み込まれていた。これらの遺伝子は光化学系II D1をコードするpsbA、HLIP(high-light inducible protein)をコードするhli、トランスアルドラーゼをコードするtalC、およびリボヌクレオチドレダクターゼをコードするnrdで、ファージのDNA複製遺伝子群と一緒に転写され、資源の乏しい海洋でのファージの複製に必要なエネルギー生産、デオキシヌクレオチド生産にかかわる機能ユニットを構成しているらしい。この系で独特な他の特徴は、感染中に宿主の側で多数の遺伝子の発現が上昇することであった。これらは、宿主のストレス応答遺伝子やファージによって誘導される遺伝子らしい。これらの宿主遺伝子の多くはゲノムアイランドに存在し、シアノファージゲノムにホモログがある。我々は、ファージが発現上昇した宿主遺伝子を利用するように進化し、その結果、それらの遺伝子がファージゲノムに安定に取り込まれ、また、ゲノムアイランドとして宿主に戻るようになったと考える。すなわち、感染中の宿主遺伝子の活性化が、宿主とファージゲノム両方の遺伝子構成の共進化を方向付けているのだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る