Article 進化:菌類における遺伝子重複の自然史と進化原理 2007年9月6日 Nature 449, 7158 doi: 10.1038/nature06107 遺伝子の重複と喪失は、機能の革新をもたらす大きな要因である。しかし、この過程を支配する基本原理は、まだほとんどわかっていない。塩基配列が解読されたゲノムの数が増えてきたことで、現在では、これらの過程を包括的に偏りなく調べることができるようになった。今回我々は、多数の生物種からなるグループについて、あらゆる遺伝子の進化史を解明する方法を開発した。この方法を17種の菌類ゲノムに適用して、これらの種全体でオーソロガスな関係とパラロガスな関係を高精度で決定したゲノム規模の遺伝子系統図を作製した。遺伝子の重複と喪失は、遺伝子の機能的性質および相互作用の相手によって大きく制約を受けることを示す。特に、ストレス関連遺伝子には重複や喪失が多数みられるが、成長関連遺伝子では、このような変化を排除するような選択がみられた。全ゲノム重複は、このような制約を回避し、制約による二分化を緩和して、結果的に遺伝子重複の働く範囲を拡大する。重複した遺伝子の機能がどうなるかを調べることにより、重複遺伝子が生化学機能に関して多様化することはまれだが、制御に関しては多様化するのが一般的であることがわかった。意外にも、遺伝子のパラロガスなモジュールは、全ゲノム重複の後でもまれにしか生じない。遺伝子重複は、特殊化を介して機能ネットワークのモジュール化を促進させる可能性があり、それによって細胞内の系のもつれ合いを解きほぐすと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る