Letter 生態:ウツボの咽喉内にある捕食用の顎は大きな獲物を飲み込むのに役立つ 2007年9月6日 Nature 449, 7158 doi: 10.1038/nature06062 ほとんどの硬骨魚は、吸引機構により獲物を捕らえて口の中に取り込む。捕獲された獲物は、口腔内の水流により、咽喉内の第二の顎である咽頭顎(pharyngeal jaw)まで運び込まれる。この器官は、獲物がうまく飲み込まれるように助ける働きをする。ウツボは吸引摂食能力がさほど高くない。水生脊椎動物に広くかつ高度に保存されている摂食機構がこのように弱化しているウツボが、大きな魚や頭足動物をどのようにして飲み込んでいるのかは不明である。今回我々は、ウツボ科トラウツボ属のMuraena retiferaが捕食用の咽頭顎を咽喉から口腔まで送り出すことにより、吸引摂食能力の低下を克服していることを示す。咽頭顎は、口腔内でもがく獲物をしっかりつかんで咽喉内に戻り、食道へと送り込む。これは、脊椎動物が第二の顎を使用して獲物の拘束と取り込みの両方を行うことの最初の記載例であり、硬骨魚類で報告されている獲物の水力輸送に代わる唯一の代替機構である。ウツボの咽頭顎が示す極めて高い可動性は、咽頭顎を制御する筋肉の伸張に、隣接する鰓弓構造の縮小化が伴うことによって可能となっている。今回の発見により、咽頭顎が頭骨の後ろから前に出て口腔顎内にある獲物をつかめるところまで達することがわかり、ウツボがサンゴ礁の入り組んだ基質内で獲物を狩る最上位捕食者として成功していることに寄与していると思われる、大きな革新的特徴が明らかになった。このもう1つの獲物取り込み様式は、形態的・行動的・生態的にウツボと著しい収斂を示す陸生脊椎動物であるヘビにみられる歯止め機構と、仕組みの上で類似している。 Full Text PDF 目次へ戻る