Letter 地球:大陸地溝帯近傍の下部地殻地震における流体の役割 2007年4月26日 Nature 446, 7139 doi: 10.1038/nature05743 大陸地溝帯近傍の下部地殻で地震が発生する理由は、下部地殻の温度が脆性破壊の発生には高すぎると一般的に考えられていたため、長い間謎であった。そのような異常な地震は、下部地殻が通常よりも低温であるせいであるとして説明されるのが一般的であった。しかし、もし下部地殻が実際に地震を発生させるほど低温であるならば、その直下の最上部マントルの温度も十分低くなるはずだが、最上部マントルでの地震発生は観測されていない。ニュージーランドの活動的な大陸地溝帯であるタウポ火山地帯(TVZ)の南端近くでは、多くの下部地殻地震が発生している。本論文では、密な地震観測網で得られたデータを用いて作製した、この地域の地震波速度と減衰構造の三次元トモグラフィーモデルを提示する。この三次元地震波速度構造モデルを用いて精密に再決定した地殻内地震は、地溝帯に沿って連続した帯状の分布を成しており、TVZの中央部ではほぼ10 kmより浅いが、火山帯の終端より30 km南西では下部地殻内の30〜40 kmと深くなっていることが明らかになった。これらの地震は群発活動を起こすことが多く、臨界の負荷がかかった剪断帯内の流体運動が原因であることを示唆している。地震発生帯内の地震波速度も流体の存在と矛盾しておらず、地震活動の深さ分布は、TVZ中央内部の地震波減衰が大きい(部分溶融と解釈される)ところと、南西部の地殻内で減衰が小さいところとの境界に平行している。このように上部地殻および下部地殻の地震活動と地殻構造を結び付けることで、下部地殻での地震活動すべてを普遍的に説明することができる。こうした地震活動には、本来は乾燥して苦鉄質である地殻の断層表面で、その下のメルトから溶解したものを含む高温の流体により断層が弱化することが関与している。このような流体は一般に、大陸地溝帯近傍の下部地殻地震活動を駆動する上で重要となる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る