Article 新しい早老症候群によって明らかになった遺伝毒性ストレスによるソマトトロピン軸の抑制 2006年12月21日 Nature 444, 7122 doi: 10.1038/nature05456 DNAらせんに歪みを生じるような損傷や細胞毒性を示すDNAの鎖間架橋を修復するには、XPF-ERCC1エンドヌクレアーゼが必要である。XPFの軽度の変異は、色素性乾皮症というがん化しやすい病気の原因になる。XPFに重度の変異をもつある患者では、架橋に対する感受性が非常に高くなり、早老症の際立った兆候がみられた。修復されなかったDNA損傷がどのような仕組みで老化を促進するのか、また、このような損傷が自然な老化にどのように関連しているのかは解明されていない。今回我々は、老齢マウスの肝臓のトランスクリプトームと、この早老症候群のマウスモデルとの間に、非常に重要な関係があることを明らかにする。XPF-ERCC1欠損マウスの発現データから、細胞死の増加と抗酸化防御の亢進、同化作用が強まる方向への変化、寿命の調節因子として知られるIGF1(growth hormone/insulin-like growth factor 1)シグナル伝達の抑制が認められた。野生型のマウスでも、慢性の遺伝毒性ストレス、カロリー制限、あるいは加齢によって同様な変化がみられる。結論として、細胞毒性をもつ修復されていないDNA損傷が、IGF1/インスリン経路を介する非常によく保存された代謝応答を誘導し、これが資源を成長から体細胞の保護や寿命の延長へと再配分すると考えられる。これは、DNA損傷が老化の原因のなっていることを強調する結果であり、老化と終末期の健康状態を決めるのは、機能低下の原因となる確率論的な損傷と、損傷の蓄積や衰えの速度を決める遺伝的要因の両方であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る