Letter ボツリヌス神経毒素Bは高い親和性と特異性でそのタンパク質受容体を認識する 2006年12月21日 Nature 444, 7122 doi: 10.1038/nature05387 ボツリヌス毒素(BoNT)は、ボツリヌス菌Clostridium botulinumによって作られ、ボツリヌス中毒という神経麻痺症候群を引き起こす。その致死量は1 ngkg-1であるため、バイオハザードであり、また生物兵器として重大な脅威となりうる。BoNTは神経筋接合部に高い特異性で結合し、シナプス小胞融合装置の一部をなすSNAREの特異的なタンパク質分解により、アセチルコリンを含むシナプス小胞のエキソサイトーシスを阻害する。分子レベルでの毒素-細胞認識の詳細ははっきりしていない。今回我々は、タンパク質受容体と複合体を作っているBoNTの構造を報告する。シナプトタグミンIIの内腔側ドメインに結合したボツリヌス神経毒血清型B(BoNT/B)受容体の結合ドメインの構造を分解能2.15Åで決定した。結合に際して、内腔側ドメインにヘリックス構造が1つ形成され、それがBoNT/Bの遠位端にあるサドル形の裂け目に結合する。この裂け目は、BoNT/Bの重複していないガングリオシド結合部位の近くにある。シナプトタグミンIIは、エンドソーム内pHが中性でも酸性でもナノモルの親和性でBoNT/Bと相互作用する。構造に基づく変異の生化学的、神経細胞学的ex vivo研究から、相互作用の親和性と特異性が高いこと、シナプトタグミンIおよびIIアイソフォームの間でBoNT/Bが高い選択性をもつことが示された。シナプトタグミンおよびガングリオシドの両方に相助的に結合することで、エンドサイトーシスの後のBoNT/Bの転位の開始に幾何学的制限が加わる。我々の結果は、これらの神経毒に対する予防ワクチンや阻害剤を合理的に開発する基礎となる。 Full Text PDF 目次へ戻る