Letter

Dll4シグナル伝達の阻害は血管新生の制御解除により腫瘍増殖を抑制する

Nature 444, 7122 doi: 10.1038/nature05313

血管特異的なNotchリガンドであるDll4のハプロ不全により、Dll4が胚形成期の血管発生や動脈新生に不可欠であることが示されている。多数のシグナル伝達経路の緻密な連携を必要とする複雑な血管形成過程に、Dll4を介したNotch経路がどのように寄与しているのか、その機序については不明である。本論文では、Dll4を介したNotchシグナル伝達が、内皮細胞の増殖および分化の制御に独特な役割を担っていることを示す。選択的な抗体を用いてDll4を中和すると内皮細胞が過剰に増殖するようになり、in vitroでもin vivoでも細胞運命の指定や分化に異常がみられるようになった。さらに、Dll4の阻害によって、複数の腫瘍モデルで腫瘍の増殖が抑制された。Dll4に対する抗体と血管内皮増殖因子(VEGF)に対する抗体とでは,矛盾するようにみえるが腫瘍の脈管構造に及ぼす影響が異なっていたことは注目に値する。我々のデータは、Dll4を介したNotchシグナル伝達は能動的な血管新生においては極めて重要であるが、正常の血管の維持にはあまり重要ではないことも示している。さらにNotchシグナル伝達を全体的に阻害した場合と異なり、Dll4の中和は小腸の杯細胞の分化に明らかな影響を与えなかったことは、Dll4を介したNotchシグナル伝達は主に血管系に限られているという考えを支持している。したがって、Dll4を標的にすることは固形腫瘍の治療のための、広い効能があり耐容性の良好な方法となる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度