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哺乳類の酸味感知を担う細胞とその論理

Nature 442, 7105 doi: 10.1038/nature05084

哺乳類はさまざまな化学物質の味を感じとるが、使っている味覚の種類は5つの基本味(甘味、苦味、酸味、塩味、うま味[グルタミン酸ナトリウムの味])だけである。これだけのレパートリーでは少ないように思われるかもしれないが、動物はこれで食物の種類や質に関する重要な情報を得ている。酸味の検知は、例えば腐敗や未熟のせいで酸味が強くなっている食物を摂食しないよう警告する重要な感覚入力として働く。我々は、生体情報学、遺伝学、機能解析研究を併用して、多発性嚢胞腎様イオンチャネルであるPKD2L1を、哺乳類の酸味センサー分子の候補として同定した。舌では、PKD2L1は甘味、苦味、うま味を感じる味受容細胞とは別種の味受容細胞集団で発現している。PKD2L1を発現する味細胞をin vivoで調べるため、我々はマウスに遺伝子操作を施して、選択された味受容細胞を標的として除去した。PKD2L1発現細胞を欠くマウスは、酸味刺激に対する味覚応答をまったく示さない。この場合、ほかの味物質すべてに対する応答は影響を受けないままであることは特に重要で、これから味質の分離はイオンによる刺激にまでも及ぶことが示唆される。今回の結果によって、5種の基本味のうち4種について、それぞれ独立した細胞レベルの基質が確立されることになり、末梢では味覚符号化が包括的専用回線様式(comprehensive labelled-line mode)をとることが裏づけられる。特に、PKD2L1が脊髄中心管周囲の特定なニューロンでも発現していることは注目に値する。今回我々は、これらのPKD2L1発現ニューロンが脊髄中心管に突起を伸ばし、細胞外pHの低下に応答して活動電位を選択的に誘発することを示す。これらの細胞は、長い間探し求められてきた脳脊髄液化学感覚系の構成要素にあたると我々は考える。以上の結果を総合すると、複数のまったく異質の生理的状況に共通する酸感知の基本的機構の存在が示唆される。

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