Letter progranulinの変異は17番染色体に連鎖するタウ陰性前頭側頭型認知症を引き起こす 2006年8月24日 Nature 442, 7105 doi: 10.1038/nature05016 前頭側頭型認知症(FTD)は、65歳以下で発症する認知症で2番目に多い原因である。FTD患者の多く(35〜50%)には認知症の家族歴があり、この疾患には遺伝的要因が強く関係することと一致している。1998年に、微小管結合タンパク質タウ(MAPT)をコードする遺伝子の変異は、染色体17q21に連鎖しパーキンソン症候群を伴う家族性FTD(FTDP-17)を引き起こすことが示された。明確なMAPT変異をもつ患者の神経病理学的な特徴は、過剰にリン酸化されたタウからなる細胞質神経原繊維封入体がみられることである。しかしながら、染色体17q21の同じ領域(D17S1787-D17S806)に連鎖があることの有意な証拠が示されている多数のFTD家系で、MAPTの変異は見つかっておらず、そうした患者ではタウ免疫反応性封入体という病理学的な特徴もやはり認められない。それとは対照的に、これらの患者のニューロンには、ユビキチン(ub)免疫反応性細胞質封入体と特徴的なレンズ状をしたub免疫反応性核内封入体が認められる。本論文では、こうした家系のFTDは、ヌル対立遺伝子をつくる可能性が高いprogranulin遺伝子(PGRN)の変異によって引き起こされることを示す。PGRNは、染色体17q21.31上のMAPTからセントロメア側に1.7Mb離れた位置を占めており、発生、創傷修復、炎症など、多数の過程の調節に関与する68.5-kDaの分泌型増殖因子をコードする。また、PGRNは腫瘍形成とも強い関連がある。さらに、PGRNはクロイツフェルト・ヤコブ病、運動ニューロン疾患およびアルツハイマー病を含む多くの神経変性疾患の活性化ミクログリアで発現が亢進している。我々の結果は、PGRNの変異が神経変性疾患の原因であることを同定し、ニューロンの生存にPGRNの機能が重要であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る