Letter ヒトにみられる偏狭な利他行動 2006年8月24日 Nature 442, 7105 doi: 10.1038/nature04981 社会規範とそれに付随する利他行動は、ヒトの協力行動の進化や社会秩序の維持のために決定的に重要であり、家族生活や政治、経済的相互作用に影響を及ぼしている。しかし、利他的な規範順守や規範強制は、集団間に対立がみられる状況で表に現れてくることが多いため、こうした規範の順守や強制は、ヒトが自分と同じ民族や人種、言語集団に属する者を身びいきする「偏狭性」(parochialism)によって形作られている可能性が高い。我々は、パプアニューギニアの先住民集団で、「公平な」立会人が規範違反者を罰することのできる懲罰実験を行った。本論文では、これらの実験によって、偏狭性に関する予測が確認されたことを報告する。罰を与える者は、規範違反者に被害を受けた者に対して、その規範違反者がどの集団に属するかにかかわらず、外集団の被害者よりも内集団の被害者のほうをかばうことがわかった。規範違反者のほうも、罰を与える者が自分と同じ社会集団に属する場合には、甘い処分を下してくれることを期待する。結果として、罰を与える者と規範違反者が同じ集団に属している場合には、規範違反の頻度が高くなる。我々の得た結果は、個体選択理論はもとより、選択的集団絶滅に基づく進化のマルチレベル選択理論でも説明がつかないものであり、異なる集団に由来する個人間の相互作用を進化モデルで明確に調べる必要性も示している。 Full Text PDF 目次へ戻る