Letter C型肝炎ウイルスNS2-3プロテアーゼの触媒ドメインの構造 2006年8月17日 Nature 442, 7104 doi: 10.1038/nature04975 C型肝炎ウイルスは世界的に重大な健康問題であり、推定感染者数は1億7000万人に上る。慢性感染が普通で、肝硬変や肝がんに移行しうる。ワクチンはなく、現行の治療法はあまり成果を上げていない。ウイルスRNAゲノムはポリタンパク質をコードしており、ここにはウイルスの複製に必須の2種のプロテアーゼが含まれている。NS2-3プロテアーゼはNS2/NS3接続部分での開裂を媒介し、NS3-4Aプロテアーゼはポリタンパク質下流の4か所での開裂を起こす。NS3-4Aプロテアーゼはキモトリプシン様折りたたみをもつセリンプロテアーゼであることがわかっているが、NS2-3プロテアーゼの酵素機構は未解明であった。今回我々は、NS2-3プロテアーゼの触媒ドメインの分解能2.3Åでの結晶構造を報告する。この構造から、2個の複合活性部位をもつ2量体のシステインプロテアーゼであることが明らかになった。個々の活性部位では、触媒作用を行うヒスチジンとグルタミン酸残基が一方の単量体から、求核的なシステインがもう一方の単量体から提供されている。カルボキシ末端残基は2個の活性部位に配位したままであることから、開裂後は酵素が不活性になると予想される。複合活性部位の形成によるタンパク質分解は、哺乳動物細胞内でウイルスのポリタンパク質が発現する状況で起こる。これらの特徴は、C型肝炎ウイルスによるポリタンパク質プロセシングについて予想外の知見を与え、抗ウイルス薬の設計に新たな機会を提供するものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る