Letter タンパク質の柔軟性が光合成エネルギー変換を周囲の温度に順応させる 2006年8月17日 Nature 442, 7104 doi: 10.1038/nature04947 多様な周囲温度に応答して触媒活性を調節することは、地球上の生命にとって基本の1つである。その重要な例が光合成である。極寒の南極から煮え立つ温泉までの温度域で太陽エネルギーが電気化学ポテンシャルに変換され、酸素とバイオマスの生成を引き起こす。光合成反応中心タンパク質複合体が光励起されると電子とプロトンの協奏的な移動が起こり、これによってエネルギー変換が進む。物理化学の理論に従えば、この過程の必須段階の速度は温度上昇につれて指数関数的に増加すると予想され、光合成中温菌と極限環境微生物の生育温度では太陽エネルギー変換収率は異なることになる。これに対して、今回我々は、エネルギー変換速度が非常に綿密に調節されていて、中温菌と好熱菌で同様の収率となることを示す。温度調節過程の主役となる分子は、これまで認識されていなかったタンパク質内の空洞群とその近傍の充填モチーフである。これらは共同して、反応中心タンパク質にとって重要な局所の柔軟性を与える。中温菌の充填モチーフ内に変異を加えてアミノ酸側鎖のかさを増し、空洞のサイズを減少させると、好熱菌的な挙動が促進される。この新規な生体力学機構ならば、生理的温度より上での触媒反応が古典的なアレニウスの理論に反して遅くなることをうまく説明できる。この機構は、多様な生息環境の温度に酵素を順応させる操作に新たな指針を与える。もっと一般的には、膜タンパク質についても球状タンパク質についても同様に、構造-活性相関を調節するのに重要だと考えられる新規なタンパク質要素が明らかにされた。 Full Text PDF 目次へ戻る