Letter パキスタン北部では20世紀は過去1,000年間で最も湿潤な時代であった 2006年4月27日 Nature 440, 7088 doi: 10.1038/nature04743 20世紀の温暖化は、大気の水蒸気保持量を増加させ、水循環と降水特性の変化につながると考えられる。全球の降水率と降水分布の温暖化による変化は、気温自体の変化に比べ、人間の生活環境や生態系の動態により大きな直接的影響を与える可能性がある。これら2つの気候変数は共変動するにもかかわらず、長期間にわたる気候の復元においては、主に気温の変化だけに目が向けられてきた。本論文では、樹木年輪から得られた年ごとの酸素同位体の記録を提示し、パキスタン北部の高山帯における降水変動を千年スケールで復元する。気候シグナルは主に冬季の降水から生じ、また生態的に異なる場所でも同じように明確に現れる。百年スケールの変動から、過去1,000年間の初期および18世紀から19世紀初頭にかけては乾燥状態であり、19世紀後半から20世紀にかけて降水量が増加し、過去1,000年間のうちで最も湿潤な状態がもたらされたことが明らかになった。別の長期間にわたる降水復元との比較から、水循環が大規模に増大した時期が、産業化と地球温暖化が始まった時期と一致することが示された。その前例がないほどの規模は、人類がこの変化に一定の役割を果たしたことを証拠立てている。 Full Text PDF 目次へ戻る