Letter 成体マウス精巣の精原幹細胞が示す多分化能 2006年4月27日 Nature 440, 7088 doi: 10.1038/nature04697 新生子マウスでは、精巣由来の生殖系列幹細胞のみならず、胚の生殖細胞も多分化能を備えており、胚性幹細胞と同様の分化能を示すことから、生殖系列細胞には多分化能性細胞を生成する能力が維持されていると考えられている。しかし、雄の一生にわたって精子形成を続ける役割を担う精原幹細胞(SSC)に、多分化能と可塑性があることを示す証拠はこれまで示されていない。本論文では、遺伝的選択により、成体マウスの精巣から27%の成功率でSSCを単離したことを報告する。単離したSSCは、培養条件に応じて胚性幹細胞の性質を獲得する。我々は、この細胞を多能性成体生殖系列幹細胞(maGSC)と命名した。この細胞はin vitroで自発的に三胚葉系の組織に分化する能力をもち、免疫不全のマウスでは奇形腫を形成する。初期胚盤胞に注入したSSCはさまざまな臓器の発生にかかわり、生殖系列への遺伝子導入がみられる。したがって、成体マウスの精巣では多能性細胞生成能力が維持されている。睾丸の生検試料からヒトmaGSCが樹立できれば、ヒト胚性幹細胞使用に伴う倫理的・免疫学的問題なしで、個々人の細胞を使う治療が行える可能性がある。さらに、これらの細胞は、さまざまな細胞系列の遺伝病に関する新たな研究機会をもたらすかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る