Letter リシルオキシダーゼは低酸素誘導性の転移に必須である 2006年4月27日 Nature 440, 7088 doi: 10.1038/nature04695 転移は多段階からなる過程であり、ほとんどのがんによる死亡の原因となっている。また、転移は直接的な微小環境(細胞と細胞、あるいは細胞とマトリックスとの相互作用)や広い意味での腫瘍の微小環境(例えば血管新生)の両方によって影響される。低酸素は、臨床的に転移や患者の予後不良と関連づけられているが、その基礎となる過程は明らかにされていない。マイクロアレイを用いた研究から、低酸素状態のヒト腫瘍細胞ではリシルオキシダーゼ(LOX)の発現が上昇していることが示されている。矛盾したことに、LOXの発現は、腫瘍の抑制と腫瘍の進行の両方に関連づけられており、その腫瘍発生における役割は細胞の存在場所や、細胞の種類、形質転換の状態に依存しているようである。本論文では、LOXの発現が低酸素誘導因子(HIF)によって制御されており、ヒトの乳がんや頭頸部がんにおける低酸素状態と関連していることを示す。LOXが高度に発現する腫瘍の患者は、遠隔転移を起こしやすく、全体生存期間も短い。LOXの阻害は、同所性に乳がんを増殖させたマウスで転移を抑制する。作用機構的には、分泌されたLOXはフォーカル・アドヒージョンキナーゼの活性や、細胞とマトリックスとの接着を介して低酸素状態のヒトがん細胞に浸潤能をもたらす。さらにLOXは転移増殖を可能にするニッチ形成にも必要であるかもしれない。今回の結果はLOXが低酸素誘導性の転移に必須であり、転移の予防や治療におけるよい標的であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る