Letter

心血管疾患の治療のためにC反応性タンパク質を標的にする

Nature 440, 7088 doi: 10.1038/nature04672

補体を介する炎症は、先進国の死因として最も多い心臓発作および脳卒中で、虚血性壊死による組織損傷を悪化させる。梗塞範囲が大きい場合は、即座に病的状態の悪化や死亡率の上昇につながり、また、急性期を乗り越えた患者では、機能しない梗塞瘢痕が大きくなるほど長期予後が悪くなる。つまり、新しい心臓保護および神経保護療法に対する重要な医学的要求がいまだ満たされていないのである。我々は以前、損傷を受けた組織で露出しているリガンドに結合し、その後補体を活性化する古典的な急性期タンパク質であるヒトC反応性タンパク質(CRP)が、冠動脈結紮あるいは大脳動脈結紮を受けたラットで、それぞれ心筋あるいは脳の梗塞の範囲を拡大することを示した。ラットCRPはラット補体を活性化しないが、ヒトCRPはラットとヒトの両方の補体を活性化する。そのため、ヒトCRPのラットへの投与は、ヒト内因性CRPの作用を解明するための優れたモデルとなる。本論文では、CRPの特異的低分子阻害剤として、1,6-ビス(ホスホコリン)-ヘキサンの設計、合成およびその有効性について報告する。このパリンドローム構造をもつ化合物5分子は、2個の五量体CRP分子と結合する。つまり、リガンドとの結合に必要なCRPのB面を架橋結合によってふさぎ、その機能を阻害するのである。急性心筋梗塞を発症させたラットへ1,6-ビス(ホスホコリン)-ヘキサンを投与すると、ヒトのCRPの投与によって引き起こされる梗塞範囲の拡大や心機能異常は認められなかった。したがって、CRPの治療的阻害は、急性心筋梗塞における心臓保護の有望な新アプローチであり、また、脳卒中においても神経保護作用をもつ可能性がある。損傷を受けた細胞で露出しているリガンドにCRPが結合することによって、補体を介した組織傷害が悪化する可能性があることから、CRP産生の増加を特徴とする炎症、感染および組織損傷などへのより広い応用が考えられる。

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