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野生ブチハイエナでは順位と相関したアンドロゲンの母性効果が子の行動に影響を及ぼす

Nature 440, 7088 doi: 10.1038/nature04540

序列が存在する社会では、社会的順位が個体の健康状態や繁殖成功に甚大な影響をもつことがあり、そうした形質の順位に応じた違いは、しばしば内分泌機能の差異を介して実現される。出生前のホルモン暴露により現れる母性効果は、社会的順位に関係する表現型形質の非遺伝的継承、ひいては行動の個体差や社会構造を形作るうえで重要だと思われる。今回我々は、野生のブチハイエナ(Crocuta crocuta)で、優位の雌では妊娠後期のアンドロゲン濃度が劣位の雌よりも高いことを報告する。さらに、妊娠後期にアンドロゲン濃度が高かった母親の子は雌雄とも、アンドロゲン濃度が低かった母親の子よりも攻撃行動やマウント行動の頻度が高かった。どちらの行動もアンドロゲンの社会構造化作用に強く影響を受けることがほかの哺乳類でわかっており、ハイエナにおいては両行動とも適応度に重要な影響をもつ。それゆえ我々の結果は、既に鳥類で示されているように、哺乳類でも順位と相関した出生前アンドロゲン暴露による母性効果が子の表現型に適応的な影響を及ぼすことを示している。また本結果は、ブチハイエナに雌の優位性や攻撃性を発達させる構造化機構があり、これらの母性効果形質が雌の極端な雄化のコストを相殺している可能性があることも示唆している。

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