Letter 遺伝:遺伝子調節へのボトムアップ・アプローチ 2006年2月16日 Nature 439, 7078 doi: 10.1038/nature04473 人工的な遺伝子ネットワークを構築できれば、数量モデルや質的モデルと比較できるような意図的に単純化した系を実験的に調べることができる。もし、単純で特徴のよくわかっている複数モジュールを、さらに複雑でその挙動が個々の成分の挙動から予測できるネットワークに連結させることができれば、「ボトムアップ」方式から細胞内調節プロセスの解明に迫る足がかりとなるかもしれない。今回我々は、大腸菌で遺伝子発現を同時に抑制し活性化することができるプロモーターを人工的に作り出した。そして、段階的に複雑さを増す条件下(調節されない、抑制された、活性化された、同時に抑制・活性化された)で、人工の遺伝子ネットワークにおいてそのプロモーターがどうふるまうかを調べた。我々は、このモジュール系の人工プロモーターから、発現の平均値と分布を定量的にとらえる確率論的モデルを開発した。そして、このモデルが拡張可能であり、これを使って正のフィードバックを含むように拡張すれば、ネットワークのin vivo挙動を正確に予測できることを示す。このモデルからは、細胞の成長・分裂の停止時にはタンパク質発現レベルのノイズが増大する可能性があるという直観に反する予測も得られ、実験的に確証した。この研究から、調節の下位系の特性が、規模も複雑さもより大きい調節ネットワークの挙動予測に使えることや、このボトムアップ・アプローチで遺伝子調節を解明する糸口が得られることがわかる。 Full Text PDF 目次へ戻る