Letter 化学:シングル・ターンオーバー計数による結晶面依存性触媒反応の空間分解観察 2006年2月2日 Nature 439, 7076 doi: 10.1038/nature04502 表面での触媒プロセスは、長年にわたって高真空条件下で単結晶金属表面上のモデル反応を精査する方法によって研究されてきた。しかし工業的には、大半の不均一触媒反応が、触媒活性の異なる結晶面、結晶端、欠陥を持つ複雑な触媒材料を用いて常圧または高圧下で行われている。新規、あるいは改良型触媒が合理的に設計される場合、表面の特性と触媒活性との(理想的には現実的な反応条件下で得られた)定量的相関関係が必要なことは言うまでもない。透過型電子顕微鏡法と走査型トンネル顕微鏡法によって、原子分解能で触媒表面のin situキャラクタリゼーションが可能となったが、前者は低圧条件、後者は導電性表面が必要なため限界がある。和周波発生分光法では、気相および凝縮相における吸着反応物・生成物の振動を特定できるが、今のところ単一分子レベルほどの感度はない。今回我々は、蛍光顕微鏡法による個々の有機分子の化学的変換のリアルタイム・モニタリングを用いて、試薬溶液に浸漬した層状複水酸化物結晶に触媒される反応を観察した。広視野顕微鏡を使用することにより、シングル・ターンオーバー事象を計数し、結晶全体にわたって触媒活性の空間分布をマッピングできた。エステル加水分解反応は側方の{101【特殊文字、1の上に横棒あり】0}結晶面で進行するが、エステル交換反応は結晶の外表面全体で起こることが見いだされた。今回の方法は常温・常圧下、凝縮相で実行可能なので、増え続ける工業的液相有機分子変換に適用して、無機固体表面上や無機固体内で触媒活性のある箇所を突き止めることができる。異なるサイズや機能を持つプローブ分子の使用は非常におもしろいと思われ、これにより形状選択的な触媒反応や構造に敏感な触媒反応が詳しく解明され、新規の、またより生産性の高い不均一触媒の合理的な設計に役立つと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る