Letter

構造生物学:イプシロン15バクテリオファージの構造から明らかになったゲノムの組織化とDNAのパッケージング/注入装置

Nature 439, 7076 doi: 10.1038/nature04487

多くの正二十面体ウイルスでは、多面体の1つの頂点で、DNAのパッケージング、宿主細胞の認識とそれへの結合、および濃縮されたDNAの宿主への注入に不可欠なウイルスの構成要素が組立てられる。これらの構成要素の構造には正二十面体対称が見られないために、従来の正二十面体対称による平均化手法を用いて構造解析をすることができない。今回我々は、単粒子低温電子顕微鏡法によって、正二十面体の平均化手法によらずに決定した、感染性のSalmonellaバクテリオファージイプシロン15の全体構造について報告する。これにより、60個の6量体と11個の5量体からなる正二十面体の外殻の構造だけでなく、5量体の頂点の1つにある非正二十面体構造をとっている構成要素の構造が明らかになった。この位置に見られた電子密度は、内側の円柱状コアと外側の尾部中心部(3量体からなる突出した尾部スパイク6個に結合している)にはさまれた、12個のサブユニットからなる入り口複合体(portal complex)によるものであると同定された。ウイルスのゲノムは、少なくとも外側の3層では同軸のコイルとしてパッケージングされており、末端の約90個のヌクレオチドがタンパク質コアと入り口複合体を貫通して宿主細胞へ注入される準備が整った状態で留まっている。より高分解能で正十二面体構造を再構築した外殻タンパク質は、ヘルペスウイルスを含むその他の二本鎖DNAウイルスと類似した折り畳み方であったことから、これらの多様なウイルスに共通の祖先が存在することが示唆される。対称性が異なる要素によって構成されている他の生物ナノマシンの研究にも、今回使われた画像再構築手法が適用できるものと考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度