Letter 進化:トカゲ類とヘビ類における毒液分泌システムの初期進化 2006年2月2日 Nature 439, 7076 doi: 10.1038/nature04328 現生爬虫類の中で毒液分泌システムを進化させたことが知られる系統は、より進化したヘビ類とドクトカゲ科(アメリカドクトカゲとメキシコドクトカゲ)の2系統だけである。毒液分泌システムの進化は、より進化したヘビ類(ヘビ類3,000種のうち2,500種)がめざましい放散をとげる基盤になったと考えられている。これとは対照的に、トカゲ類では毒液分泌システムを持つ種が2つに限定されており、ヘビ類の毒液分泌システムとは独立に進化してきたと考えられている。本論文では、毒液の毒素がさらに2つのトカゲ系統(オオトカゲ類とイグアナ類)に存在することを報告し、毒液分泌の口腔腺を持つ系統のすべてが1つのクレードを形成することを示して、トカゲ類とヘビ類の毒液分泌システムが初期に単一の起源から生じたことを実証する。分泌腺の相補的DNAライブラリーの構築と転写産物の系統発生解析から、トカゲ類とヘビ類の間で9種類の毒素が共通していることが明らかになった。レースオオトカゲ(Varanus varius)から採取した毒液成分を毒素学的に解析したところ、それは血圧や血液凝固能といった生物活性に強力な作用を及ぼし、獲物の急速な意識喪失や激しい出血を伴うことがわかった。ヒガシアゴヒゲトカゲ(Pogona barbata)は祖先型の毒液分泌システム、すなわち上下の顎にある一続きの小葉状で非混合型の毒液分泌腺の特徴を保持している。だが、より進化したヘビ類やオオトカゲ下目(オオトカゲ類、アメリカドクトカゲとメキシコドクトカゲを含む)にはより派生的な毒液分泌システムがあり、その特徴は下顎か上顎どちらかの分泌腺を失っていることである。ヘビ類、イグアナ類、オオトカゲ類が単一のクレードを形成することの証明は、トカゲ類とヘビ類の毒液分泌システムの起源が1つであることを示す確かな裏付けとなる。これらの結果は、有鱗目爬虫類における毒液分泌システムの進化を探る新たな糸口となり、また、まだ調べられていない毒液タンパク質を使った生物医学研究や薬剤設計に新しい道を開くものだ。 Full Text PDF 目次へ戻る