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細胞:DNA複製においてDNAプライマーゼは分子レベルのブレーキとして働く

Nature 439, 7076 doi: 10.1038/nature04317

DNA複製の特徴の1つとして、リーディング鎖上での連続的なヌクレオチド重合反応とラギング鎖上での不連続なDNA合成との協調が挙げられる。この2つが同調して起こるには、RNAプライマー合成やラギング鎖DNAポリメラーゼの再使用、岡崎フラグメントの合成を制御する一連の酵素反応が、正確なタイミングで行われる必要がある。プライマーゼによるRNAプライマーの合成は、複製フォークでのDNAポリメラーゼによるDNA合成に比べると桁違いに遅い速度で行われる。また、完成した岡崎フラグメントから新しいプライマーへのラギング鎖DNAポリメラーゼの再配置は、本質的にヌクレオチドの重合反応よりも遅い。ラギング鎖上でこのような速度の遅い酵素反応が、リーディング鎖での速い連続合成との協調を損なうことなく行われるのはどうしてか、その仕組みを説明するために異なったモデルが出されているが、はっきりした解明はなされていない。今回我々は、一分子解析技術を用いてバクテリオファージT7の多タンパク質複製複合体の速度論的研究を行い、プライマーゼ活性が複製フォークの進行に及ぼす作用を調べた。その結果、ラギング鎖上のプライマー合成が、高い連続反応性を示すリーディング鎖のDNA合成を一時的に停止させることがわかった。リーディング鎖、ラギング鎖両方の合成が行われている場合、ラギング鎖上では複製ループができては消えるのが観察された。ループの形成の前に、プライマーゼがブレーキとして働き、一時的に複製フォークの進行が停止する。この観察結果は、ラギング鎖上で遅い酵素反応が起こっている間、リーディング鎖での合成がラギング鎖の合成を追い越してしまわないように防ぐ機構があることを示している。

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