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生態:チンパンジーは集団内の非血縁個体の福利に無関心である

Nature 437, 7063 doi: 10.1038/nature04243

ヒトは並外れて向社会的な種である。我々は投票や献血、リサイクルや献金を行い、社会規範に背く者を罰している。実験で得られた証拠から、人々は名も知らない行きずりの人間を助けるために進んで代償を負ったり、少なくとも部分的には共感や他人の福利への気遣い(以下、これを「他者を思いやる選択」とする)によって利他的行動に走ったりすることがわかっている。対照的に、ヒト以外の霊長類に見られる協同行動は、主として血縁個体や互恵関係にある相手に限られており、見ず知らずの個体にまで及ぶことは実質的にまずない。今回我々は、ヒト以外の霊長類に他者を思いやる選択が存在するかどうかの実験的検証について報告し、チンパンジー(Pan troglodytes)が物質的な代償を自ら払わずにすむ場面でも、顔なじみの個体に利得を与える好機を活かさないことを示す。これは、チンパンジーでは他者を思いやる選択が行動の動機づけにならないことを意味する。チンパンジーは霊長類の中でも社会的行動を示す見込みが最も高い。彼らは、縄張りのパトロールや結託した攻撃、協同の狩り、食物の分配から配偶相手の合同防御までさまざまな集団活動に関与する。攻撃の餌食となった個体を慰める行動や、傷ついた個体を気遣うような扱いの事例報告から、チンパンジーには共感能力があるのではないかという示唆がなされている。チンパンジーは、他者よりも価値の低い報酬を受け取る場合に課題への参加を拒否することもあり、これは「公平さの観念」の現れなのかもしれない。しかし、チンパンジーが他者より多くの利得を得るような相互作用に抵抗を示すことの証拠は得られていない。

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