Letter 植物:病原性をもつ菌類には毒素を産生する内部共生細菌が存在する 2005年10月6日 Nature 437, 7060 doi: 10.1038/nature03997 クモノスカビRhizopus属に分類される植物病原性菌類の多くは、イネ苗立枯病の原因菌として悪名高い。イネ苗立枯病では、はじめに苗の根に異常な膨張が見られるが、このとき病原体の感染を示す徴候は概して認められない。この特徴的な症状は、実は大環状ポリケチド代謝物リゾキシンによる。リゾキシンは培養Rhizopus sp.から単離されている。この 植物毒素は、イネのβチューブリンに結合して有糸分裂を阻害し、細胞周期を停止させることによって病害をもたらす。リゾキシンはさまざまなヒト癌細胞株を含む多くの真核細胞に対して極めてめて強い有糸分裂阻害活性を示すため、有望な抗腫瘍薬として少なからぬ注目を集めている。本論文では、リゾキシンを生合成しているのがクモノスカビ自体ではなく、内部共生している、つまり細胞内に存在するBurkholderia属の細菌であることを示す。この予想外の知見は共生細菌と病原菌との間に極めて複雑な関係があることを明らかにするものであり、菌類と植物との相互作用を細菌という重要な第三者にまでに広げ、病害管理に新たな見通しを開くものである。 Full Text PDF 目次へ戻る