Letter 発生:WntDはショウジョウバエの発生と免疫におけるDorsal/NF-κBのフィードバック阻害因子である 2005年9月29日 Nature 437, 7059 doi: 10.1038/nature04073 転写因子であるNF-κBファミリーの制御は動物において非常に重要であり、これがうまくいかないと、癌や慢性炎症性疾患、発生異常などが引き起こされる。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を用いた研究では、Toll/NF-κB経路が、ショウジョウバエ胚での背腹軸パターン形成に加え、ショウジョウバエと哺乳類の両方で自然免疫応答にかかわる主要な構成要素であることの発見を端緒として、NF-κB タンパク質の制御にかかわるシグナルについて多くの知見が得られている。本研究では、ショウジョウバエのwntD(Wnt inhibitor of Dorsal)遺伝子について解析を行った。WntDは胚のパターン形成と感染に対する自然免疫応答の両方で、NF-κB相同体であるDorsalのフィードバック阻害因子として働いていることがわかった。wntDの発現はToll/Dorsalシグナル伝達の制御下にあり、WntD濃度の上昇は、IκB相同体であるCactusがない条件下でも、Dorsalの核内集積を阻害する。WntDシグナルは、Wntシグナル伝達系に共通の下流成分であるArmadillo(β-catenin)には依存しない。遺伝子ノックアウト実験により、wntDの機能欠失変異体は免疫に欠陥があり、Toll/Dorsalシグナル伝達の増大を呈することがわかった。さらに、wntD変異体の表現型は、接合体dorsalの喪失によって抑制された。これらの結果はTollシグナル伝達に対する分泌性フィードバックのアンタゴニストについて得られた最初の知見であり、ショウジョウバエにおけるWntの新たな働きを示すものである。 Full Text PDF 目次へ戻る