Letter 生態:チンパンジーの道具使用に見られる文化的規範への同調 2005年9月29日 Nature 437, 7059 doi: 10.1038/nature04047 野生の大型類人猿で記録されている広範な行動多様性は、ヒト以外の生物では考えられないほどの文化的差異の複雑さを反映したものであることが、豊富な状況証拠から示唆されている。しかし、この解釈で想定される文化伝承能力については、制御された実験を行う機会が限られる野外では、厳密に調べることがむずかしかった。今回我々は、実験的に集団内に持ち込んだ複数の技術が、異なる類人猿集団内に広がることを示す。我々はまず、飼育下にある2つのチンパンジー集団のそれぞれから社会的順位の高い雌を1頭ずつ選び出し、集団の仲間から見えないようにして、同じ「パンパイプ」型装置から餌を得るために、道具を使った2通りの技術のうち一方を使うよう訓練した。次に、それぞれの雌を元の集団に戻した。技術習得したこれらの雌の影響を受けて新しい技術を習得したチンパンジーは、2頭を除いて全部で32頭だったが、技術習得個体のいない第3の集団では修得した個体はいなかった。大部分のチンパンジーは自分たちの集団に持ち込まれた手法を採用し、これらの習慣は時間とともに広がり続けた。これらと異なる方法を見つけ出した一部のチンパンジーは、その発見にもかかわらず集団の仲間内で優勢な方法に合わせるようになった。このことは、ヒトの文化の特徴だとみなされている、同調による偏向がチンパンジーの文化にも存在することを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る