最終間氷期を終息に導いた過程を調べることは、現在の間氷期がどのように終わるかを解明することと関係があり、多くの議論が行われてきた。近年グリーンランドで得られた氷床コアによって、軌道運動により支配される日射量によって122,000年前から気候が寒冷化し、118,000年前に氷期が始まったことが明らかになっている。本論文では、アイフェル山地(ドイツ)のマール湖(火口湖)で得られた、ヴァーブ(年層)の厚さ、石英の粒径および花粉の集合について、堆積層の一枚一枚から年単位で判別された記録を示す。この記録には、氷期の開始時に468年間続いたEemian後期の短い乾燥期が含まれ、この時期には砂塵嵐、乾燥、山火事、温暖な気候を好む樹木の衰退が起こっていた。降水量の減少と気温の低下は、暖かい表層水を北ヨーロッパ地方へともたらす北大西洋海流の位置の南方への急激な移動と、この極端な気候とが密接に関連していることを示すと考えられる。Eemian後期の短い乾燥期は、北緯65度の7月の日射量が416 Wm-2という、現在の428 W m-2に近い値をもつ時に起こっており、したがって今日の気候変動を解釈する際の手がかりとなるかもしれない。