Letter 細胞:p53に依存した細胞の老化がPten欠損による発癌の抑制で果たす重要な役割 2005年8月4日 Nature 436, 7051 doi: 10.1038/nature03918 細胞の老化は、in vitroで発癌遺伝子経路の活性化を引き金として起こる悪性形質転換に対抗するとされているが、in vivoでの老化の関与については立証されていない。癌抑制因子PTENとp53は、ヒトの前立腺癌などの癌で不活性化や変異が最も多くみられる遺伝子の仲間である。この2つは機能的には別個だが、PTENはp53の安定性を調節し、p53はPTENの転写を促進すると考えられているため、互いに協同しているとの説が出されている。本論文では、マウスの前立腺でTrp53を条件的に不活性化しても癌の表現型は得られないが、前立腺でPtenを完全に不活性化すると、長い潜伏期間を経て、前立腺に非致死性の浸潤性前立腺癌が生じることを明らかにする。意外にも、PtenとTrp53をともに不活性化すると、性熟期に達した2週間後には早くも浸潤性の前立腺癌を生じ、7か月齢までには例外なく死に至った。重要なことだが、in vitro、in vivoのいずれにおいても、Ptenを急激に不活性化すると、p53に依存した細胞老化経路を介して成長の停止が起こるが、Trp53を組み合わせて欠失させると、この停止は完全に回復する。さらに、初期のヒト前立腺癌由来の試料からも細胞の老化の証拠が検出された。これらの結果は、in vivoでも細胞の老化が発癌抑制にかかわっていることを明確に示しており、p53がPtenの欠損した癌でフェイルセイフ機構として重要な働きをするという、癌の協同抑制のモデルを裏付けている。 Full Text PDF 目次へ戻る