Letter 進化:歯の微視的使用痕のテクスチャー解析から見ると化石人類の食餌には種内変動性があった 2005年8月4日 Nature 436, 7051 doi: 10.1038/nature03822 絶滅人類の食餌内容の再現は、人類系統のたどった古生物史や進化史を理解するうえで不可欠である。歯の微視的使用痕、つまり歯を使うことで生じる微視的な磨耗・破砕状態からは、動物個体が過去に何を常食としたかを知る直接証拠が得られる。残念ながら、微視的使用痕を調べる従来の諸手法は再現性が低かったり、観察者による大きな誤差が含まれていたりした。今回我々は、南アフリカで出土した絶滅人類に対して、歯の使用痕の表面テクスチャーを三次元的に調べる客観的で再現性のある手法を適用した。微視的使用痕の複雑性や異方性の特徴をとらえるため、走査型共焦点顕微鏡とスケールに敏感なフラクタル解析を併用した。現生霊長類の解析結果から、この方法を使えば、特徴とする破砕特性の違いによって食餌の種類を識別できることがわかった。人類(ヒト族)に適用したところ、微視的使用痕のテクスチャー解析からは、Australopithecus africanusの使用痕はParanthropus robustusに比べると異方性が大きいが、異方性の変動も大きい。後者の使用痕は前者に比べて複雑だが、複雑性の変動も大きい。このことから、A. africanusのほうが靱性の大きい餌を、P. robustusのほうが堅くて割れやすい餌を食べていたが、どちらの食餌も変動があって内容も重複していたと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る