Letter 物理:量子ドットにおける電子透過の「メソスコピック」位相から「ユニバーサル」位相へのクロスオーバー 2005年7月28日 Nature 436, 7050 doi: 10.1038/nature03899 コヒーレント電子系、すなわち、量子ドットなど「メソスコピック」系の位相を測定すれば、コンダクタンスの測定結果から容易には明らかにできない基本的な輸送特性に関する情報を得ることができる。最近、比較的大きい量子ドットで位相測定が行われ、ドットを横断する電子の位相発展は、ドットのサイズ、形状、そして電子の占有数に関係なく、ある「ユニバーサル」な挙動を見せることが明らかにされた。特に、量子ドットがクーロンブロッケード領域にあるとき、透過位相はそれぞれコンダクタンスがピークとなる部分でπだけ単調に増加する。コンダクタンスの谷部分で位相は最初の値へ鋭く戻る。ドットの形状、スピン縮退、あるいは交換効果と関係する、位相発展で予測されるメソスコピックな特徴はまだ観測されておらず、位相の挙動で観測されたユニバーサリティに関する満足な説明はまだない。本論文では、たった1〜20個の電子の占有数しかない小さな量子ドットに対して位相測定を行った結果を報告する。これらの小さなドットは電子透過の位相挙動が原理的には解釈しやすいと考えられる、今までもっと大きなドットでのみ観測されていたユニバーサルな挙動とは対照的に、ドットの電子占有数が約10個以下のときには、位相測定結果に明瞭なメソスコピック的特徴が見られた。占有数が大きくなると、位相発展のようすが変化し、約14個以上の電子でユニバーサルな挙動が回復した。この予測されるメソスコピックな挙動からユニバーサルな位相発展への転移の検証結果は、ユニバーサルな位相発展に対する理論モデルを構築する際の方向性を示し、条件付けを行う上で役立つものと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る