Letter 脳:長期知覚剥奪によって阻止される一次体性知覚皮質の樹状突起棘の消失 2005年7月14日 Nature 436, 7048 doi: 10.1038/nature03715 哺乳類の脳では、出生後の遅い時期から死亡までの間に、シナプス数の相当な減少が起こる。経験がシナプス結合の修飾に重要な役割を果たしているが、こうした生涯にわたる期間のシナプス消失にどのような影響をもつのかはわかっていない。今回、黄色蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックマウスに経頭蓋的二光子顕微鏡法を適用し、バレル皮質第一層のシナプス後樹状突起棘を可視化した。若年成体マウスでは、ヒゲを切ることで知覚を長期に奪うと、樹状突起棘の形成速度が上がるためではなく、同時進行中の棘廃止の速度が下がるために、棘消失が抑えられる。この知覚剥奪効果は、動物の成熟とともに小さくなるものの、成体でも残る。若年成体期に知覚剥奪を被った後に知覚経験が再開されると、棘廃止は加速する。知覚の操作と同様、NMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体をアンタゴニストであるMK801で長期に遮断すると、棘廃止は低下し、アンタゴニスト投与をやめると加速する。一次体性知覚皮質での棘動態に関するこれらの結果は、動物の生涯にわたる(とくに若年期での)シナプスの総数減少に、経験が重要な役割をもつことを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る